
流注(るちゅう)ーメインルート案内
心主、手の厥陰心包絡の脈は胸中に起こり、出て心包絡に属し、膈(横隔膜)を下り、三焦(上脘・中脘・陰交)を歴絡す。
その支は胸を循り、脇に出て腋を下ること三寸(天地)、上って腋下にいたり、臑内(天泉)を循り、太陰少陰の間を循り、肘中(曲沢)に入り、臂に下り両筋の間(郄門・間使・内関・大陵)をめぐり、掌中(労宮)に入り、中指を循り、その端(中衝)に出る。
その支は掌中(労宮)に別れ、小指の次の指を循り、その端に出る(三焦経に交わる)。
穴歌(けつか)ー簡易版ルート案内
九穴、手の厥陰、天地 天泉 曲沢 深し、郄門 間使 内関 対す、大陵 労宮 中衝 備はる。
別絡( べつらく )ー乗り継ぎルート案内
①内関から手の少陽三焦経へ
②内関から手の厥陰心包経⇒心包⇒心系中へ
※病症…実:心臓が痛む/虚:頸の筋がこわばる(頭強)
経別(けいべつ)ーサブルート案内
- 手の厥陰の正は淵腋を下ること三寸にして別れて胸中に入り、別れて三焦に属し、出て喉を循り、耳後に出て少陽と完骨の下で合す。
経筋(けいきん)ー筋肉専用ルート案内
手の心主の筋は中指に起こり、太陰の筋と並び行きて肘の内廉に結し、臂陰(上腕内側)に上って腋下に結し、下って(淵腋から)前後に散じて脇をはさむ。
その支は腋に入り、胸中に散じ、賁に結す。
※病候…循行部位すべてが痙攣し、前面に胸痛が及び、息噴となる。
主治( しゅち )ー有効な症状
- 現代医学的には精神・神経症状/心疾患/消化器疾患
- 東洋医学的には
- 是動病(≒軽症)⇒手掌のほてり/上肢のひきつり/腋下の腫れ/ひどくなると季肋部がつかえ動悸がおこる/顔色は赤く眼は黄色くなり常に笑いたがる
- 所生病(≒重症)⇒胸が苦しく痛む/手掌のほてり
ケアのヒント
- 心臓の症状(動悸など)⇒腎虚または脾虚として心包経を治療
- リウマチ熱などで心臓が悪い(よく笑ったりしゃべったりする)⇒内関や大陵の補
備考
- 心包経には心の陽気が出てきていて、膀胱経を通り腎に入り、精と合して命門の陽気となる。そのため右尺中の脈診部位を命門を診るとも心包を診るともいう。
- 心は君主であり直接出てきて働かない。しかし心の陽気は大切で、これがないと身体は働かない。特に脾には陽気がなく、脾虚のときには陽気が必要で、そのときに心包経を補うのである。
このとき心経を補っても、少陰経であるから心臓の熱を制する寒気が多く流れているため用をなさない。 - 心臓疾患治療:
- 心の陽気↓=補⇔心の熱↑=瀉
- 圧痛・硬結が最も現れやすい=郄門⇔硬結がなく気抜けて虚=間使・内関・大陵
WHOの表記は Pericardium Meridian
コメント