
流注るちゅうーメインルート案内
腎、足の少陰の脈は(膀胱経の流れを受けて)小指の下に起こり、ななめに足心(湧泉)に走り、然谷の下に出て内顆の後(太谿・大鐘)を循り、別れて跟中(照海・水泉)に入る。以て腨内(復溜・交信・三陰交・築賓)に上って、膕の内廉(陰谷)に出て股内の後廉を上り、脊を貫き(督脈の長強に会し、そこから下腹部に出て、横骨・大赫・気穴・四満・中注・肓兪)腎に属し(関元・中極)膀胱を絡う。
その直なるものは(肓兪から腎に行き)、腎より上って(商曲・石関・陰都・通谷)肝隔を貫き(歩廊)、肺中に入って(神封・霊虚・神蔵・或中・兪府)喉嚨を循り人迎に並び舌本を挟む。
その支は神蔵より別れて、心をまとい(膻中)に注ぐ(心包経に繋がる)。
穴歌けつかー簡易版ルート案内
足の少陰、二十七穴、
湧泉 然谷 太谿 に溢る、太鐘 照海 水泉に通じ、復溜 交信 築賓 連る、陰谷 横骨 大赫 赫き、気穴 四満 中注 に立つ、肓兪 商曲 石関 に蹲まる、陰都 通谷 幽門 僻し、歩廊 神封 霊虚 の位神蔵 或中 兪府 既く。
別絡べつらくー乗り継ぎルート案内
①大鐘から踵⇒足の太陽膀胱経へ
②大鐘から手の厥陰心包経→背部へ
※病症…実:小便が通じなくなる/虚:腰が痛む
*脈気が逆上すると睾丸が腫れ突然痛みが発する
経別けいべつーサブルート案内
- 足の少陰の正は膕中に至り、別れて太陽に走って合す。
- (ここから)上って腎に至り、十四椎に当って出て帯脈に属す。
- (そこから)直なるものは舌本につながり、項に出て太陽に合す。
経筋けいきんー筋肉専用ルート案内
足の少陰の筋は小指の下に起こり、足の太陰の筋と並んで、ななめに内顆の下に走り、踵にを結し、太陽の筋と合して上り、内輔(膝関節内側)の下に結す、(そこから)太陰の筋に並んで上って陰股を循り、陰器に結し、脊の内を循り、膂を挟み、上って項に至り、枕骨に結し、足の太陽の筋と合す。
病候…足の下が痙攣し、筋が通過帰結する所がみな痛み、痙攣する/病がここにあると癇疽および痙症が主である/外にあればうつむくことができない/内にあれば仰ぐことができない/陽が痛むと腰が反り返ってうつむくことができない/陰が痛むと仰ぐことができない
主治しゅち[腎臓・副腎・性腺]ー有効な症状
- 現代医学的には泌尿器疾患/生殖器疾患/消化器疾患/呼吸器疾患
- 東洋医学的には
- 是動病(≒軽症)⇒空腹感はあるが食欲はない/顔色が黒ずむ/呼吸が苦しく咳き込む/血痰を吐く/立ちくらみ/寝ることを好んで起きたがらない/気が不足すると心配性でビクビクする
- 所生病(≒重症)⇒口の中が熱い/舌が渇く/喉が渇いて腫れ上気する/胸が苦しく痛む/黄疸や下痢/経脈走行上(腰背部・大腿内側・足底)が痛み横になりたがる/足底のほてり
ケアのやり方
すべての症状は腎虚から起こる(ただし、脈や病症により病理・治療穴は変わる)
- 動悸・胸苦しさ・足底のほてり・小便が出にくい・口渇・疲れやすい…房事・労働・飲食などが原因(高血圧・心臓病・糖尿病などの人に好発)
- 左尺中の脈=滑実(実なほど・数なほど重症)⇒然谷・復溜の補
- 腰以下がよく冷える・のぼせる・下腹部からつき上がってくる・咽喉に何かつまった感じがする・空腹なのに食欲はない…腎の陽気不足が原因
- (特に尺中部)脈は浮で力ない(肥満体の患者の場合は浮でないが力ないのは同じ)⇒尺沢・復溜・陰谷・太谿の補
腎実⇒ナシ
備考
- 陰虚で虚熱⇒足の裏から始まるため湧泉と然谷は必須(指圧も可…指が陥没するほど!)
- 太谿~復溜は虚または寒の状態が多い
- 太谿:少陰の脈を診る場所→体力があり脈が無い≒瘀血/浮脈で分かりやすい≒腎虚で虚熱
- 陰谷より上の大腿部…経穴はないが腎虚証や肝虚証では圧痛アリ
- 腹部経穴は診断部位
- 恥骨上部(横骨周囲)の抵抗や圧痛≒腎虚
- その上部≒任脈と共に虚
- その外側の胃経はひきつる(腎虚の虚熱が胃経に波及)
- その他腹部は下痢時に圧痛…任脈の虚+胃経のひきつり=腎虚熱証
- 胸部経穴:圧痛≒腎虚熱証+心熱
- 本経・経別は咽喉部や舌に繋がる(少陰心経と同じ)→咽喉痛での照海
- 経別が十四椎で帯脈と繋がる(帯脈は胆経と繋がる)
- 腰痛で腎の補+胆の瀉はこのため(帯脈は腹部では鼠径部あたりまで垂れているか?)
- 経筋:脊椎の外側を上行(膀胱経内側にあたる)→硬結が多い
- 特に腰痛で腎兪~大腸兪までの内側
WHOの表記は Kidney Meridian
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